きゅうけつき

 出演キャスト様
キャラ名 台詞数
吸血鬼 58
人間 61


役名 番号 台詞
〇モノローグ
吸血鬼 001_001 『生き物は須らく、死にゆくために生まれる。だから僕が死にゆく今は、特別なことじゃない。ただせっかく吸血鬼なんていう奇抜な人種に生まれたのだから、せめて人間の血を一度でも吸えばよかったと、そう思っているだけだ。そもそもに僕は、死ねるんだろうか』
〇シーン1
人間 002_001 こら起きろ少年、何してんだ
吸血鬼 003_002 ぅ……うう?
人間 004_002 ったく、人ん家(ち)の前で、これ見よがしにくたばろうとしてんじゃないよ
吸血鬼 005_003 うるさいな。ほっといて、ください。どうせ死ぬんです
人間 006_003 ……へぇ。若い身空でもう死ぬのか。難儀な。やりたいことはないのか? なしたいことは
吸血鬼 007_004 ……ありますよ
人間 008_004 ならせめて、それをしてから死ねばいい。未練があったんじゃ正しく極楽とやらには行けないだろう?
吸血鬼 009_005 っは! 極楽
人間 010_005 なーあー、そこにいられると家に入れないし。なんか誰かに通報されそうだし。せめて退いてくんない? 行き倒れるなら二、三軒先のお宅で頼むよ
吸血鬼 011_006 うるさい、ほっといてください
人間 012_006 ったく、ほんとに死にそうだな。なぁ、もし死ぬならさ。一つくらい願い、叶えてやろうか?
吸血鬼 013_007 あなたが? ……っは、嘘だ。そんなことできっこない
人間 014_007 ほんとだって
吸血鬼 015_008 ……もど、して
人間 016_008 え? なんだって?
吸血鬼 017_009 聞こえなかったんですか。あなたの血をくださいと、言ったんです!!
人間 018_009 うえ?
吸血鬼 019_010 いただきますね
人間 020_010 いってぇ!!
〇モノローグ
人間 021_011 『道端に倒れてた少年に声をかけて死ぬ前にしたいことをすべきだと、我ながら素晴らしい慈悲の声をかけたら噛みつかれたのだが、これいかに。首から血が吸われるのを快感だと表現する作品は世にごまんとあるが、普通に痛い!!』
〇シーン2
人間 022_012 で、俺の血を吸って元気になったと。よかったね少年
吸血鬼 023_011 よくないですよ! あなた、僕と契約してしまったんですよ?
人間 024_013 えーっと?
吸血鬼 025_012 説明したでしょ。吸血鬼に血を吸われた人間は、普通の人間には戻れないんです
人間 026_014 まぁ、しゃーないよな
吸血鬼 027_013 あなたに残された選択肢は、吸血鬼になるか、ただ腐るのを待つかのどちらかです
人間 028_015 あー、正直どちらも好みじゃない
吸血鬼 029_014 補足ですが、僕以外の吸血鬼に血を吸われても死にます
人間 030_016 まったく難儀な。なぜそんなに面倒臭いんだ吸血鬼
吸血鬼 031_015 僕らは自分の得物を横取りされるのが嫌いなんです。だから、ほかの吸血鬼が噛んだら人体に拒絶反応が出ます
人間 032_017 手をつけられたかは、その人間が死んだかどうかで判断できるというわけだな
吸血鬼 033_016 そうです。さ、じゃあ首をだしてください。さっさと二回目しますから
人間 034_018 ん? お断りだよ?
吸血鬼 035_017 僕に吸血されないと死ぬんですよ?
人間 036_019 それがどうした。死は人間に平等に訪れる。それが遅いか早いかの違いはあれどね。俺は早かった、ただそれだけの事だ
〇モノローグ
吸血鬼 037_018 『あの人間の言うことは分からない。もとより僕は人間の言うことなんて理解できない。けれども特にあの人間は意味が不明だ。見ているとイライラする。死ななくていい方法があるのに、手を伸ばさない』
〇シーン3
人間 038_020 どうした少年、不機嫌な顔だな
吸血鬼 039_019 あなたはいつでものっぺらぼうのようですね
人間 040_021 あれー? そう? すっごく笑ってる気がするのに。ほぉら
吸血鬼 041_020 その顔が笑顔というものなら、今まで僕が見てきた笑顔はすべて偽物だ
人間 042_022 あー、笑えてないか。失敗したなぁ。そうか、だからみんな心配してくるのか
吸血鬼 043_021 あなたが他の人間に心配されるのは体がやせ細って、生気が感じられなくなってるからですよ
人間 044_023 ちゃんとご飯食べてるのに?
吸血鬼 045_022 僕の話聞いてましたか? 僕に吸血されないとあなたは衰弱して死ぬ。だからさっさと血をよこしてください。貧血気味のくそ不味い血で我慢してあげますから
人間 046_024 なにそれ。血を吸われるのは俺なのに、なんでそんな偉そうに言われないといけないかな。あげないよ、吸わせない
吸血鬼 047_023 どうしてです
人間 048_025 生きてたって意味ないから。死神でも来ないかなぁって思ってたんだ。来たのは吸血鬼だったけど。殺してくれるならどっちだって一緒さ
吸血鬼 049_024 ……あなた、死にたいんですか?
人間 050_026 どちらかというと生きていたくない?
吸血鬼 051_025 それは死にたいと何が違うんです
人間 052_027 なんだろうね。何が違うんだろう。分かんないや
吸血鬼 053_026 なぜ死にたいんです
人間 054_028 んー? なんでかな。はは、忘れちゃった
〇モノローグ
人間 055_029 『死にたい願望があるわけじゃない。でもこれ以上、息をしていたくないとは思う。けれども悲しいことに、自殺ができるほど勇気が俺にあるのかと聞かれればノーだ。つまりはそういうことだ』
〇シーン4
吸血鬼 056_027 人間さん。人間さん。死ぬんですか?
人間 057_030 ん、ああ。少年、おはよう
吸血鬼 058_028 おはようございます。電話、ずっと鳴ってましたよ、会社の人から留守番電話も入ってます
人間 059_031 君は人間社会のこと、詳しいね
吸血鬼 060_029 僕、一年前までは自分のこと人間だって思ってたので
人間 061_032 そうなんだ
吸血鬼 062_030 高校とかで恋人作って、友達とバカ騒ぎして、大学受験して、バイトとか。社会人になったら好きな人と結婚して、子供を作って、家を買って
人間 063_033 素晴らしい人生設計だ。若いのにしっかりしてる
吸血鬼 064_031 でももう意味を成しません。僕は吸血鬼だった。人間社会では生きていけない。普通とは違うから
人間 065_034 そっかぁ
吸血鬼 066_032 お子さんの葬儀は今日だそうですよ
人間 067_035 どうしてそれを?
吸血鬼 068_033 留守番電話に、あなたの母親と名乗る女性から
人間 069_036 そう
吸血鬼 070_034 今ならまだ間に合いますよ。僕が吸血すれば、一時的に体力も戻ります
人間 071_037 少年は俺を生かしたとして、何をしてほしいんだ?
吸血鬼 072_035 なにもしていりません。ただ……寝覚めが悪いだけですよ、僕の所為で死ぬ人間がいるのは
人間 073_038 お前の所為で吸血鬼になる人間がいるのは目覚めがいい?
吸血鬼 074_036 減らず口。本当に死んじゃいますよ?
人間 075_039 誰もいないならさ、もういいかなって――痛っ!? なんで、血をすって。やめろ!
吸血鬼 076_037 よくよく考えたら僕があなたの願いを聞いてあげる必要なんてないんですよね。ざまあみろ
〇モノローグ
吸血鬼 077_038 『死にたがっている人間の血を吸った。あと一度吸血行為で彼は僕らの仲間入りをする。誰もいないのが寂しいとか言ったけれど、そんなことで死んでいいはずがないんだ。だって僕もずっと、誰もいないのだから。僕は死ねないのに、ずるい』
〇シーン5
吸血鬼 078_039 あと一度だから我慢してください
人間 079_040 嫌だ。血を吸われるの痛いからいやだ。注射も嫌いなのに
吸血鬼 080_040 痛いのが嫌なら快楽を誘発するようにもできますよ
人間 081_041 いらんわ! あー、目が回る。お願いだからさ、このまま放っといて
吸血鬼 082_041 あなたは死にかけの僕を生かした。僕が死ぬはずだった未来を奪った。だから僕もあなたの未来を奪う権利があります
人間 083_042 少年は死にたかった?
吸血鬼 084_042 そうですね。人間じゃないって分かってからずっと。正体が友達にばれて、化け物って叫ばれてからずっと
人間 085_043 そっかぁ、少年が死ぬのを邪魔したのか
吸血鬼 086_043 そうです。あなたが僕を生かした。だから僕はあなたを生かすんです
人間 087_044 人間じゃなくなっちゃうのか、俺
吸血鬼 088_044 僕も人間じゃないです
人間 089_045 そっかぁ
吸血鬼 090_045 吸血鬼も悪くないですよ
人間 091_046 化け物って指さされて、人間を襲わなくちゃいけなくて、そんな自分が心底いやだって泣きそうな顔してる少年に、んなこと言われてもなぁ
吸血鬼 092_046 選択肢なんてあげません。僕はもう決めました。あなたは僕が貰う
人間 093_047 ……少年
吸血鬼 094_047 なんです
人間 095_048 痛いのは嫌だ
吸血鬼 096_048 我慢してください
人間 097_049 ケチ
〇モノローグ
人間 098_050 『どうして死にたかったのか。どうして生きていたくなかったのか。もう思い出せない。けれども俺の傍にはいつでも少年がいて、彼が俺を食べる。だから、俺は生きないといけないのだろう。おそらくは、そうなのだろう』
〇シーン6
人間 099_051 あーあ、寒くなってきたなぁ。肉まん食べたい
吸血鬼 100_049 こんなところにいたんですか、探しましたよ
人間 101_052 なぁ、さ。肉まん食べたい
吸血鬼 102_050 いいですよ。でもそれ以外も食べてください。僕はグルメなんですから
人間 103_053 グルメならもっと健康に気を使ってる人の血を飲もうよ
吸血鬼 104_051 被害者はあなた一人で充分でしょう
人間 105_054 そうだけどさ
吸血鬼 106_052 さっさと行きますよ
人間 107_055 急がなくてもコンビニは24時間営業してるって
吸血鬼 108_053 肉まんは夜になると売り切れるんじゃないんですか?
人間 109_056 あ、まずい、じゃあ急がないと! ほら行くぞ
吸血鬼 110_054 はいはい。先に行って迷子にならないでくださいね
人間 111_057 ならないよ!
吸血鬼 112_055 どうだか。ああそうだ、ずっと言おうと思ってたんですけど僕、女ですから
人間 113_058 ……へ?
吸血鬼 114_056 生物学的には女性です。ので少年ではないですよ。まあ、好きに呼んでくれて結構ですが
人間 115_059 はぁああ!? う、うそだ。だってぺったんこ
吸血鬼 116_057 セクハラですか? してもいいですけど、やり返しますからね
人間 117_060 しないから!! しない!
吸血鬼 118_058 そうですぁ。残念です
人間 119_061 えー
END


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