役名 |
番号 |
台詞 |
○道端 |
和 |
01_01 |
あら、お久しぶりね、叶野 |
叶野 |
02_01 |
(道端に小銭発見)おや、こんな処に小銭が |
和 |
03_02 |
(目の前でしゃがまれて、ちょっとオコ)……あたしが話しかけてあげたのに無理するの? |
叶野 |
04_02 |
(和の方を見てにこりと笑う)? ああ、お前は、久しぶりだね |
和 |
05_03 |
(少し照れながら、ふんぞり返ろうとする)ふ、ふん。そうよ、そうやって話しかけてくれば |
叶野 |
06_03 |
元気にしていたかい、招き猫。お前が去ってから、うちの売り上げはぐんと下がって |
和 |
07_04 |
無視しないでよ!! |
叶野 |
08_04 |
おやおや、誰かと思えば和じゃないか。いつからそこに居た? |
和 |
09_05 |
ずっとここにいたわ! |
叶野 |
10_05 |
ううむ。目が悪くなったかな |
和 |
11_06 |
もう、いつもいつも、あたしのこと無視して |
叶野 |
12_06 |
無視をしているわけじゃない。ただ、お前ももう私のそばに居なくていいだろう |
和 |
13_07 |
あたしが誰とつるむかは、あたしが決めるのよ |
叶野 |
14_07 |
まったく、しょうのない子だ |
和 |
15_08 |
子ども扱いしないでちょうだい。あたしは店だって構えて一人前なのよ |
叶野 |
16_08 |
私からすれば、お前たちは皆、子どもみたいなものさね |
和 |
17_09 |
婆くさい |
叶野 |
18_09 |
婆だからね。さてと、行こうか |
和 |
19_10 |
どこにかに行くの? 出不精のあなたが珍しい |
叶野 |
20_10 |
ちょいとね、野暮用さ |
和 |
21_11 |
ふうん、じゃ、ついていくわね |
叶野 |
22_11 |
和、お前、暇な子だね |
和 |
23_12 |
暇じゃないわよ! 仮面の材料だって買いに行かなきゃいけないし |
叶野 |
24_12 |
だったら、そっちにお行き |
和 |
25_13 |
(むくれて)なによ、ついて行っちゃ駄目なの |
叶野 |
26_13 |
かりんとうをあげるから、いい子でお帰り |
和 |
27_14 |
子どもじゃないって言ってるでしょ! |
叶野 |
28_14 |
まったくこの子は……ついてきてもいいけれど、つまらない場所だよ |
○沼 |
和 |
29_15 |
ここ、常夜に繋がる沼よね? 常世に行くの? |
叶野 |
30_15 |
行かないよ。送ってやらねばならんやつが居るだけさ |
和 |
31_16 |
? 分からないわ、叶野。送ってあげなくてはいけない相手って誰なの? |
叶野 |
32_16 |
ときどきね、最期が決められたとおりに終われない人間がいる |
和 |
33_17 |
今回の客、きちんと死ねなかったの? |
叶野 |
34_17 |
いいや、死にはしたよ。想う相手と無理心中をね |
和 |
35_18 |
殺されちゃったの。可哀想に |
叶野 |
36_18 |
お前がそれを言っちゃぁ駄目だよ。ほれ |
和 |
37_19 |
その仮面、あたしの店の。どうして叶野が持ってるの? |
叶野 |
38_19 |
私の客を殺した女が被っていたのさ |
和 |
39_20 |
……あの人、幸せになりたいって言ったのよ? |
叶野 |
40_20 |
幸せになりたいやつが夜叉の仮面なんて被るもんか |
和 |
41_21 |
強くなりたいって |
叶野 |
42_21 |
和、お前の仮面は強力な力だ。だからこそ、売る相手を選ばなければいけない |
和 |
43_22 |
分かっているわ |
叶野 |
44_22 |
今回の相手は、仮面を売るに相応しかったかい |
和 |
45_23 |
……相応しいと思ったのよ |
叶野 |
46_23 |
そうか |
和 |
47_24 |
……殺された人の最期、あたしの仮面の所為で変わってしまったの? |
叶野 |
48_24 |
知らないね。私は占った結果を渡しただけで、中身は見てない |
和 |
49_25 |
あたしが悪いの? |
叶野 |
50_25 |
いいや |
和 |
51_26 |
じゃあ誰が悪いの? |
叶野 |
52_26 |
誰も悪くないよ |
和 |
53_27 |
……叶野と喋ってると分からなくなるわ |
叶野 |
54_27 |
そうか。和、仮面屋は楽しいかい? |
和 |
55_28 |
ええ、充実してる |
叶野 |
56_28 |
そうか。なら続けるといい |
和 |
57_29 |
仮面のせいで、なにか起きるかもしれないのに? |
叶野 |
58_29 |
お前の仕事は仮面を作ることだ。仮面を手にした人間がどうなろうとお前の預かり知るところじゃない |
和 |
59_30 |
無責任なのね。知ってたけど |
叶野 |
60_30 |
余計な苦労など背負わなくていいのさ。人間のことは、人間に任せればいい |
和 |
61_31 |
けど叶野は、終われなかった人間の魂を常夜に導いてあげてるじゃない |
叶野 |
62_31 |
ははは、そうだね |
和 |
63_32 |
……ねぇ、また沼に行くときがあったら誘って |
叶野 |
64_32 |
ふむ、面倒だ |
和 |
65_33 |
誘って! |
叶野 |
66_33 |
本当にお前は、わがままな子だね |
和 |
67_34 |
わがままでいいわよ |
叶野 |
68_34 |
分かったよ。次があればね |
和 |
69_35 |
絶対よ? |
叶野 |
70_35 |
ああ。さて、常夜にお行き。ここはアヤカシの住む場所だ。お前がいてはいけないよ |
和 |
71_36 |
(飛ぶ魂を見て)人間の魂って、キラキラして綺麗よね |
叶野 |
72_36 |
食べるんじゃないよ? 腹を壊す |
和 |
73_37 |
食べないわよ! もう、どうして叶野はそう余計なことを言うの |
叶野 |
74_37 |
さて、帰るよ |
和 |
75_38 |
あ、待ちなさいよ。次の仮面は阿修羅にしようと思うんだけど、どう思う? |
叶野 |
76_38 |
趣味が悪い |
和 |
77_39 |
なんですって!! |
和(一人語り) |
78_40 |
あらこんにちは、仮面屋(かめんや)へ。うん? このお店はなにを売ってるのかですって? それはもちろん仮面よ。なにに使うものって、あなた、仮面を被る以外に使うの? ふーん、ふふふ。あら嘘よ、ごめんなさい、拗ねないで。ねぇ機嫌をなおして。帰ってしまっては勿体ないわよ。せっかくこの店に来られたんだから、じっくりと見ていって。――仮面はね、被るためものもだから。うん? だから、仮面は被るためのものだから、自分の顔にきちんと被さるものを選んでね。ずれたものを選んだら、途中で落ちちゃうわよ? そんなの恥ずかしいじゃない。それにほら、よく言うじゃない、化けの皮が剥がれるって。素顔なんて晒すものじゃないわよ? 人間はね、生まれたときは素顔なの。けれど歳をとるにつれて仮面を被ってしまうのよ。それは自分で作り上げた仮面。自分を守るための仮面。けれどね、お客さん、自分で作った仮面じゃ物事を乗り越えられないときがあるのよ。あら、経験済みだったかしら。なら分かるわよね。自分で作った仮面じゃ駄目なのよ。そういう人のためのお店なの、ここは。ねぇ、あなたはどんな仮面がほしいの? なにになりたいの? 誰を――どうしたいの? |
叶野(一人語り) |
79_39 |
叶野:いらっしゃいまし、占い屋へ。なにを占いましょうか。と言いましても、ここで占えるのはただ一つですが。この店で占えるのはお前さんが死ぬ間際。どのように生涯を閉じるかだけ。自分の最期が分かれば、それを避けることは容易い。だから、重宝されておりますよ。繁盛もしております。ほっほっほ、お代はたぁっぷりといただきますから。それで、お前さんは占ってほしいのかい? 見るに人生を謳歌している様子。迷い込んだのなら早くお帰り。出口はあっちだよ。――ううん、帰らないのかい? 占ってほしい。構わないが。ああなるほど、自分ではない誰かの最期を占ってほしいんだね。これはまた、面白そうなことを。別途料金をもらうけど、いいのかい? はいよ、毎度あり。――この紙に、相手の最期が記されているよ。くれぐれも、なくさないように。どうしたんだい? 顔が青いよ。さて、なにが書かれていることやら。おや? お客人、後ろに誰か――お客人ら、ここは占い屋だよ、刃物を持ち出したり、ましてや心中する場所ではないんだが。はぁ、もう聞こえていないか。
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