役名 |
番号 |
台詞 |
小西鹿乃(こにし かの)17歳 高校2年 ボーイッシュ系・力がとても強い |
篠原ひかり(しのはら ひかり)17歳 高校2年 ほんわか系 |
一条(いちじょう) 18歳 高校3年 クール系・ちょっと意地悪 |
『』モノローグ、心の声など |
○部屋 |
小西 |
001_001 |
(心の声)暗いくらい部屋の中。消灯の時間が過ぎたから、もう電気は点けられない。あたしは自分のベッドを抜け出して、目の前にもう一つある、ひかりのベッドにもぐりこんだ |
篠原 |
002_001 |
ひゃわ!? あ、かのちゃん、びっくりしたよ |
小西 |
003_002 |
なに寝ようとしてるの、ひかり |
篠原 |
004_002 |
だ、だってね、先生に見つかったら怒られるし |
小西 |
005_003 |
(ちょっと拗ねる)いいじゃない。夜中にちょっとお茶会したって。誰にも迷惑かからない |
篠原 |
006_003 |
でもね、お茶、どうやって用意するの? 先輩たちのところにはポットあったけど、わたしたちの部屋にはないよ? |
小西 |
007_004 |
大丈夫。用意してあるから。ほら、明かりつけるよ |
小西がベッドから這い出て、持っていた蝋燭に火をつけて、中央の机に置く |
篠原もその光に机へと移動する |
小西 |
008_005 |
これの中に夕食のとき、お湯入れておいたの |
篠原 |
009_004 |
魔法瓶の中に? あ、紅茶はね、ほら、この欠片でできるんだよ。星とか、ハートとかあって可愛いよね。かのちゃんはどっちがいい? |
篠原が自分の机から、星やらハートの形をした紅茶を取り出す |
小西 |
010_006 |
ハートかな |
篠原 |
011_005 |
じゃあ、わたしは星にしよう |
用意していたティーセットに欠片を入れ、お湯を注ぐ |
篠原 |
012_006 |
わー、溶けてく |
小西 |
013_007 |
混ぜようよ |
篠原 |
014_007 |
かのちゃん、溶けていくのを見るのも楽しみの一つなんだよ? |
小西 |
015_008 |
あたしは速くお茶入れて、ひかりと話がしたいの |
篠原 |
016_008 |
うん? いつもお話してるよ? |
小西 |
017_009 |
こういう、ちょっとイケないことしてるときに話したことないでしょ |
篠原 |
018_009 |
イケないこと、なんだよね、これ |
小西 |
019_010 |
(少し意地悪く)なに? 怖気づいた? |
篠原 |
020_010 |
大丈夫だよ。かのちゃんが一緒にいるから |
小西 |
021_011 |
このぉ!! 抱きついてあげる! |
篠原 |
022_011 |
わあ! あ、あぶないよ。紅茶がこぼれるから。あ、もう溶けたかな。お砂糖いれる? |
小西 |
023_012 |
ひかりが入れるなら入れる |
篠原 |
024_012 |
じゃあ、なしにしよっか。もう遅いし、太っちゃうから――飲まないの? |
小西 |
025_013 |
まだ熱そうだし |
篠原 |
026_013 |
猫舌だったね、かのちゃん。可愛い |
小西 |
027_014 |
あたしのこと可愛いって言うのは、ひかりくらいだけど |
篠原 |
028_014 |
おかしいなぁ。こんなに可愛いのに |
小西 |
029_015 |
〜っ、可愛いくない! |
篠原 |
030_015 |
かのちゃん、しーだよ、大きな声出したら見つかっちゃう |
小西 |
031_016 |
むぅ、ひかりのくせに生意気! ぎゅうぎゅうの刑!(力いっぱい抱きしめる) |
篠原 |
032_016 |
(痛いけど、できるだけじゃれてるように言う)わ、い、痛いよ。かのちゃん、痛いから、おねがい放して |
小西 |
033_017 |
参った? 降参する? |
篠原 |
034_017 |
するする、降参 |
小西 |
035_018 |
ふふ、じゃあ放してあげる |
篠原 |
036_018 |
ふう、力いっぱい抱きしめちゃダメだよ、かのちゃん |
小西 |
037_019 |
なに言って(ひかりの腕を見て)――あ! 腕、赤くなってる。え、もしかしてさっき |
篠原 |
038_019 |
かのちゃん、少し力つよいもんね。だから加減しないと、だめなんだよ? |
小西 |
039_020 |
ごめん、ひかり。あたし |
篠原 |
040_020 |
うーん、そんな顔させたいわけじゃないんだけどなぁ。今度から気をつけよう、ね? |
小西 |
041_021 |
(落ち込んで)うん |
篠原 |
042_021 |
もう紅茶、飲めるんじゃないかな |
小西 |
043_022 |
あ、ごめん、ひかりは熱いの飲みたかったよね |
篠原 |
044_022 |
ん? わたしはかのちゃんと一緒のがいいな |
小西 |
045_023 |
そう? 本当に? |
篠原 |
046_023 |
うん |
小西 |
047_024 |
じゃあ飲もう(飲んで顔がしかめっ面になる)――う、苦い |
篠原 |
048_024 |
あははぁ |
○教室 |
机に突っ伏す小西の前の席で、小西の髪を編み込む篠原 |
篠原 |
049_025 |
かのちゃん、落ち込んでる? |
小西 |
050_025 |
(ふて腐れてる)落ち込んでない |
篠原 |
051_026 |
いやなら今からでも先輩のところに行って、やめますって言ってくるよ? |
小西 |
052_026 |
そんなことしなくていい! |
篠原 |
053_027 |
でもかのちゃん怒ってる |
小西 |
054_027 |
だって! 一条先輩、ひかりにデートしよって言った! |
篠原 |
055_028 |
デートじゃなくて、絵のモデルになってほしいって頼まれただけなんだけど |
小西 |
056_028 |
その絵、どこで描くって? |
篠原 |
057_029 |
先輩の部屋でだけど |
小西 |
058_029 |
美術室があるのに、どうして先輩の部屋に行かなきゃいけないの? |
篠原 |
059_030 |
美術室だと他の人がいて気が散るからって |
小西 |
060_030 |
ひかりがそんなのOKしなきゃよかったのに! |
篠原 |
061_031 |
うん、ごめんね |
小西 |
062_031 |
(強く言いすぎたのを気にする)あ、違うの。ひかりが誰と仲良くしてもいいんだけど。その、一条先輩は |
篠原 |
063_032 |
やだ? |
小西 |
064_032 |
だって、一条先輩綺麗だし、いい人っぽいし、ひかりのこときっと気に入るし。そしたらあたしとの時間、少なくなるから |
篠原 |
065_033 |
かのちゃんがやだって言ってくれるなら、断るのになぁ |
小西 |
066_033 |
約束したのを破るの、よくないから |
篠原 |
067_034 |
わたし、かのちゃんのそういうとこ、大好きだよ |
小西 |
068_034 |
ぅう〜……うん、決めた! あたしも一条先輩の部屋に行く |
篠原 |
069_035 |
え? かのちゃんもモデルするの? |
小西 |
070_035 |
しない。あたしは一条先輩を見張るだけ |
篠原 |
071_036 |
わたしモデルだから動けないし、つまらないよ、きっと |
小西 |
072_036 |
なら、あたしもひかりをデッサンする! |
篠原 |
073_037 |
(照れる)そ、れは、だめ |
小西 |
074_037 |
? なんで? |
篠原 |
075_038 |
なんでもなの。かのちゃんは、だめ! |
小西 |
076_038 |
先輩はよくて、どうしてあたしはだめなの!? |
篠原 |
077_039 |
だめなものは、だめ |
小西 |
078_039 |
絶対に行くの!! |
○一条先輩の部屋 |
部屋をノックすると、一条が出てくる |
一条 |
079_001 |
はい。あらいらっしゃい、篠原さん、待ってたわ |
篠原 |
080_040 |
お待たせしてすみません、一条先輩 |
一条 |
081_002 |
いいのよ、無理を言ったのは私だから。あら、小西さんも来てくれたの? |
小西 |
082_040 |
あ、う、見学を |
一条 |
083_003 |
絵に興味、あるかしら |
小西 |
084_041 |
ないです |
一条 |
085_004 |
ふふ、そう。いいわ、どうぞ。散らかっててごめんなさいね。篠原さんは、そこの椅子に座ってもらえる? |
篠原 |
086_041 |
はい |
一条 |
087_005 |
小西さんはベッドでごめんなさい。前にいられると、どうしても気になるから |
小西 |
088_042 |
べつに、ここでいいです |
一条 |
089_006 |
そう。あと篠原さん、ちょっと髪とか服をいじらせてもらっていいかしら |
篠原 |
090_042 |
はい、大丈夫です |
一条 |
091_007 |
髪はおろして、うーん、全部後ろだと味気ないわね。少し前にたらす感じにしましょうか。あと、リボンを取って |
小西 |
092_043 |
リボンは取らなくても |
一条 |
093_008 |
だぁめ、今回の絵のコンセプトは宝石だから。リボンを取って、ボタンを二つくらい外して――うんそう、で、このネックレスをつけて、よし、完成 |
篠原 |
094_043 |
あの、このネックレスは |
一条 |
095_009 |
私が作ったの。安物だけど、いい出来でしょ? デッサンが終わったら篠原さんにあげるわね |
篠原 |
096_044 |
えっと、でも |
一条 |
097_010 |
(小声で耳打ち)小西さんにやきもち焼いてもらえるかもしれないわよ? |
篠原 |
098_045 |
わたし、そんなんじゃ |
小西 |
099_044 |
(立ち上がろうとする)ひかりになにしたの! |
一条 |
100_011 |
なにもしてないわよ? ねぇ、篠原さん |
小西 |
101_045 |
でもひかり、顔赤くなってる |
篠原 |
102_046 |
かのちゃん、なんでもないよ |
小西 |
103_046 |
でも |
篠原 |
104_047 |
大丈夫、だから |
小西 |
105_047 |
っ〜! |
一条 |
106_012 |
(小声で耳打ち)なんだか勘違いされてるみたいだけど、勘違いを、本当にしてみる? |
篠原 |
107_048 |
い、いりません! |
一条 |
108_013 |
そう、残念。気が変わったらいつでもきてね、篠原さんみたいな子なら大歓迎だから |
篠原 |
109_049 |
行きません |
○廊下 |
小西が篠原の手を引いて大股で歩いている |
篠原 |
110_050 |
かのちゃん、手、痛いよ |
小西 |
111_048 |
うるさい |
篠原 |
112_051 |
かのちゃん |
小西 |
113_049 |
うるさいってば! |
部屋に入って小西をベッドに飛ばし、抱き付く |
篠原 |
114_052 |
わ? いたた、わわ!? |
小西 |
115_050 |
ネックレス外して |
篠原 |
116_053 |
うん……あの、なんだか、ごめんね |
小西 |
117_051 |
ひかりが謝ることなんてなにもないから |
篠原 |
118_054 |
でも、嫌な気分にさせちゃったよね |
小西 |
119_052 |
……あたしが、アクセサリーあげるから |
篠原 |
120_055 |
うん |
小西 |
121_053 |
他の人からもらったの、つけないで |
篠原 |
122_056 |
じゃあ、わたしがかのちゃんにアクセサリーあげたら、かのちゃんもつけてくれる? |
小西 |
123_054 |
あたしは、でも |
篠原 |
124_057 |
やだ? |
小西 |
125_055 |
壊すかもしれないから、大事にしまうから |
篠原 |
126_058 |
だめ。つけてくれなきゃ、やだ。壊れたらまた贈るから |
小西 |
127_056 |
……制服のボタン、つけないの? |
篠原 |
128_059 |
かのちゃんがデッサン終わってすぐ引っ張ってきたんだよ? |
小西 |
129_057 |
だって、嫌だったんだもん |
篠原 |
130_060 |
ね、かのちゃん。ボタン、つけて。リボンも |
小西 |
131_058 |
自分でできるのに? |
篠原 |
132_061 |
かのちゃんにつけてほしいの |
小西 |
133_059 |
すぐ脱ぐのに? |
篠原 |
134_062 |
かのちゃんにリボンつけてもらったら、もうリボン取らないよ、わたし |
小西 |
135_060 |
それは、だめ。制服は固いから抱きつきにくいから |