たいむとりっぷ 伍

 出演キャスト様
キャラ名 台詞数
家人 6
氷室 57
伊達 50
片倉 9
真田 8
豊臣 7
佐助 5


役名 番号 台詞
シーン5
※『』はモノローグです
○廊下
家人 001_001 つむぎさん
氷室 002_001 はい! お仕事終わってます!
家人 003_002 ……仕事ができたのは判りました。ただ
氷室 004_002 なにかしますか?
家人 005_003 埃を立てずに歩きなさい!
氷室 006_003 あ、はい
家人 007_004 仕事に慣れてきたようですね。よいことですが、もう少し落ち着きを持ってもらわなければ。あなたも政宗さまにお仕えする身なのですから
氷室 008_004 はい!
家人 009_005 声が大きいです。もっとお淑やかに
氷室 010_005 えっと、はぁい
家人 011_006 覇気が足りません!
氷室 012_006 えええ
 廊下を歩いている
氷室 013_007 庭の掃除終わり、食器も洗ったし、馬の世話、あ、藁を足してあげたほうがいいかな……政宗さまに手紙のこと聞くタイミング、どうしよう。うーん、行ってみようか
○政宗の部屋の前
氷室 014_008 すー、はー、すー、はー!! だめだ、まだ心の準備が
伊達 015_001 部屋の前にいるのは誰だ?
氷室 016_009 ま、政宗さま!? ――あ、どうしよう……
伊達 017_002 誰だ?
氷室 018_010 つむぎです!
伊達 019_003 つむぎか、どうした
氷室 020_011 えっと、その、お願いがあって。いまお時間、大丈夫ですか?
伊達 021_004 ああ、構わない。入ってきてくれ
氷室 022_012 失礼します
 襖を開けて部屋に入る
伊達 023_005 どうした、なにか用か?
氷室 024_013 あの、このまえ、お手紙をくれましたよね
伊達 025_006 ……気分を害したか? すまない、破り捨てて構わな――
氷室 026_014 違うんです! 気分を害するとかそんなの、絶対ないです!
伊達 027_007 そうか。ではどうした?
氷室 028_015 その、お恥ずかしながらわたし、文字が読めなくて。なにが書いてるか分からなくて
伊達 029_008 文字が、そうか、読めないのか
氷室 030_016 せっかく書いてもらったのに、読めないから、片倉さんに読んでもらおうと思ったんですけど断られて
伊達 031_009 それで、書き手の私のところに来たということか
氷室 032_017 空いたときでいいんです。なにを書いたのか、教えてもらえないかなって
伊達 033_010 ならば手すきのときにでも文字書きの練習をするか
氷室 034_018 ええ!? あ、や、手紙が読めるだけでいいんです。文字書きの練習なんて、時間がかかるし
伊達 035_011 いつ元の場所に帰れるか分からないのだから、こちらの文字を覚えていても損ではないだろう。役に立つぞ
氷室 036_019 ……役に、立つ?
伊達 037_012 ああ、文字を知っていれば役に立つだろう
氷室 038_020 わたしが文字を覚えたら、政宗さまのお役に立てますか?
伊達 039_013 私の? いや、自分の役に立てるといい
氷室 040_021 わたし、政宗さまのお役に立つことを覚えたいです!
伊達 041_014 どうしたというんだ、つむぎ
氷室 042_022 やっぱり、役に立てないのにお城においてもらうの、駄目だなって思って
伊達 043_015 ……幸村か
氷室 044_023 あ、えっと
伊達 045_016 おまえは私の役に立たないとでも言われたか
氷室 046_024 本当のことですから
伊達 047_017 心外だな。私はつむぎが役に立つから傍においていると、そう思われていたのか
氷室 048_025 そんなことないです! そんなこと――でもわたし、なにもできないのに、迷惑かけるし
伊達 049_018 おまえは城の仕事を手伝ってくれているが?
氷室 050_026 でもほんのちょっとじゃないですか。誰にでもできることですし
伊達 051_019 誰にでもできる? ははは、それは違うな
氷室 052_027 お城の掃除は誰でもできます!
伊達 053_020 なら、私とこうやって話すことも誰にでもできると? 言ってはなんだが、家人はみな私と話すと恐縮するぞ? つむぎくらいだ、そんなにいろいろと言ってくるのは
氷室 054_028 そ、そうなんですか!?
伊達 055_021 知らなかったのか?
氷室 056_029 だ、だって、わたしが頼れるのは片倉さんと政宗さまくらいで
伊達 057_022 そうだな、私がおまえをここに閉じ込めているな
氷室 058_030 そんなことないです! ここを出て行けって言われたらどうしようって、いつも思ってて
伊達 059_023 つむぎ、一つ約束をしよう、私がおまえに出て行けと言うことはない。心配なら書面でも書こうか?
氷室 060_031 ……なんで、そんなによくしてくれるんですか?
伊達 061_024 さてな、分からん
氷室 062_032 分からないって、そんな
伊達 063_025 私は自分がしたいようにしているだけだ。それがおまえの意に沿わないこともあるだろう。だからつむぎも好きにやってみればいい。誰も止めない
氷室 064_033 好きにって、わたしがこのお城を乗っ取ったらどうするんです!
伊達 065_026 はははは、乗っ取るということは、この政宗の首を取るということだぞ?
氷室 066_034 だって、こんなに近くにいても政宗さま怒らないし。私が刃物とか持ってたら襲うことだってできます!
伊達 067_027 できないな。おまえに人は殺せないし、私はそこまで弱くない。仮におまえがここで私を殺そうとしても、返り討ちにあって死ぬだけだ
氷室 068_035 そんなの分からないじゃないですか!
伊達 069_028 つむぎ、落ち着け
氷室 070_036 落ち着いてます!
伊達 071_029 なにを焦っているんだ
氷室 072_037 だって! ……だって、怖いんです
伊達 073_030 ……なにが怖い
氷室 074_038 出て行けって言われたら、行く場所なんてないから。帰る場所、ないから。なのに、助けに来てくれたとき、人を斬った政宗さまが怖くて。置いてもらってるのに、そんなこと思う自分が嫌で
伊達 075_031 血が怖いのか。そうか、戦のない場所から来たんだったな
氷室 076_039 克服してみせます。お仕事だっていっぱいできるようになります! ぜったい役に立ちます、だから
伊達 077_032 つむぎ、聞け!
氷室 078_040 っぅー
伊達 079_033 私がおまえに出て行けと言うことはない――と口でいくら言っても信じられないだろうな。書面を書いても同じか。なるほど、だから役に立って、ここに置いてもらえる理由がほしいのか
氷室 080_041 ごめんなさい
伊達 081_034 謝ってほしいわけじゃない
氷室 082_042 でもわたし、わがままなこと言ってますよね
伊達 083_035 ……そんなものは、わがままの内に入りはしないな。そうだな、ではつむぎにしかできないことを頼もうか
氷室 084_043 え? ……あるんですか! やります、やらせてください!
伊達 085_036 私と話すこと、私の愚痴を聞くこと、私に構うこと、私と一緒に小十郎を騙して時々外に出ること、あとは――
氷室 086_044 ちょ、ちょっと待ってください! え、そ、それをわたしがするんですか?
伊達 087_037 ああ、つむぎとなら退屈しなさそうだしな
氷室 088_045 ……
伊達 089_038 いまからできることを増やせばいい。急ぐ必要はない。おまえが不安に思うなら、それを口に出して私に伝えてくれ。私は私なりに考えて、その不安に応えよう
氷室 090_046 そんなの
伊達 091_039 そのかわりに私の愚痴を聞いて、小十郎の小言を一緒に聞いて、ときに小十郎に怒られて、小十郎から逃げる手伝いや、小十郎の目をの盗んで酒に付き合って
氷室 092_047 どれだけ片倉さんから逃げたいんですか、政宗さま
伊達 093_040 めいいっぱい逃げたいな! 限界まで
氷室 094_048 逃げたら、あとで怒られるんですよ? すっごく怖いんですよ?
伊達 095_041 ははは、確かに小十郎は怖いな。鉈を振り回して追いかけてくるから気をつけろよ
氷室 096_049 追いかけられたことあるんですか!?
伊達 097_042 ある!! いやぁ怖かった。しかしああ見えて実は笛の名手なんだぞ。今度、聞かせてもらえ
氷室 098_050 え、本当ですか!? じゃ、じゃあ
 ふすまが開く
片倉 099_001 お断り申し上げます!
氷室 100_051 びゃ!?
伊達 101_043 こら小十郎、せめて声をかけてから襖を開け。仮にも主の部屋だぞ
片倉 102_002 自分が傍にいることなどご存知でしたでしょうに。つむぎ、自分は笛など吹かぬからな
氷室 103_052 そ、そんな! 政宗さまがお勧めしてくださったんです。絶対綺麗なんですよね、聞かせてください片倉さん
片倉 104_003 こ・と・わ・る! なぜ自分が貴様に笛を聞かせなくてはいけない。己で吹け
氷室 105_053 リコーダーだってまともに吹けないのに縦笛なんて、絶対無理ですよ!
片倉 106_004 りこーだー、がなにかは知らんが、気合で吹け!
氷室 107_054 そんな無茶な
伊達 108_044 私も聞きたいな、小十郎
片倉 109_005 ……政宗さま……よいですか、小十郎は芸に秀でてるわけではないのです
伊達 110_045 今日は月が綺麗だろう、どれ、月見酒でもするか
氷室 111_055 お酒ですか!
伊達 112_046 ん、旨い肴を用意してやろう。そして美しい月には笛の音がいるとは思わないか?
片倉 113_006 ……月を愛でるだけでも有意義な時間となりましょう
伊達 114_047 そうか、残念だな。小十郎が笛を奏でてくれれば、久々に舞をしてみたかったのだが
氷室 115_056 舞って、政宗さまがですか!? 
伊達 116_048 評判は悪くないぞ。どうだ小十郎、政宗のために一つ、奏でる気はないか?
片倉 117_007 主人を無音で舞いに出すなど、この小十郎、いたしませぬ
伊達 118_049 そう言ってくれると思ったさ
氷室 119_057 じゃ、じゃあ!
片倉 120_008 ですが! 政宗さまはあまり呑まれませぬように、明日も公務が溜まっておりますゆえ
伊達 121_050 ケチだな、小十郎は。縮むぞ
片倉 122_009 ですから、縮みませぬ!!
○豊臣の城の廊下
廊下を歩いている真田の前に、城の主である秀吉が血をまとって現れる
真田 123_001 あら太閤さま、ご機嫌麗しゅう
豊臣 124_001 幸村か、ああ、余の気分か? ははは、気分はいいなぁ。この太閤に楯突く塵屑がぎょうさんじゃ
真田 125_002 素敵な衣に見慣れぬ血痕。どちらかに行かれていましたの?
豊臣 126_002 余の世継ぎ、鶴松の調子がよくないからのぉ。嘆願をしに市井の屑を屠っておったのじゃ
佐助 127_001 市井の民相手に嘆願ですか?
豊臣 128_003 ははははは
佐助 129_002 も、申し訳ありませぬ。ご気分を害されましたか!
豊臣 130_004 ははははは、市井の屑をいくらか嬲り殺せば、その分の命が鶴松に行くだろう?
真田 131_003 その通りですわ。さすがは太閤秀吉さま
豊臣 132_005 この頃は徳川が不穏な動きを見せている。警戒をしておけ、幸村
真田 133_004 御意に
豊臣 134_006 そうそう、しばらく前に面白いモノを拾ったのだ。暇があれば見に来るといい
真田 135_005 まぁ、なんでございますか?
豊臣 136_007 見てからの楽しみじゃ
 豊臣が去る
佐助 137_003 幸村さま、太閤さまのお子であった鶴松さまはもう
真田 138_006 亡くなられたこともお忘れになられたご様子ね。乱心されているお姿も多く見られると
佐助 139_004 情勢が動くのでしょうか
真田 140_007 太閤さまの体調もよくないご様子。この期にじょうじてくる輩は、いるでしょうね
佐助 141_005 伊達さまはどうしましょう
真田 142_008 政宗にはもちろん、関わっていただきますわ


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