たいむとりっぷ 参

 出演キャスト様
キャラ名 台詞数
氷室 58
片倉 23
真田 23
伊達 46
猿飛 3


役名 番号 台詞
※『』はモノローグです
○部屋(朝)
氷室 001_001 ふぁああ、ねたぁー。……っは! いま、何時!? あ、時計ないんだった。まずいよ、どうしよう、もう朝ごはんの仕度とか終わって――
片倉 002_001 すでに昼だ
氷室 003_002 びぁああ!! あ、片倉さん、おはようございます
片倉 004_002 昼だと言ったはずだが……昼餉の準備が整った。食べるか?
氷室 005_003 もちろんです! 政宗さまが作ってくれたんですよね!
片倉 006_003 そうだな
氷室 007_004 朝ごはん食べれなかったぁあ。ああ、ショック
片倉 008_004 貴様はもう少し、人を疑うことを覚えたほうがいいな
氷室 009_005 いやです。わたし、ただでさえ満身創痍(まんしんそうい)なんですから、政宗さまと片倉さんは疑わないって決めたんです!
片倉 010_005 ……それでは
氷室 011_006 決めたんです
片倉 012_006 勝手にしろ。自分はもう行くぞ
氷室 013_007 ああ、待ってください。いま着替えますからー!
○広間
 政宗に抱きついている幸村
真田 014_001 政宗!!
伊達 015_001 帰れ
真田 016_002 久しぶりですね。会いたかったですわ
伊達 017_002 私は会いたくなかった!
真田 018_003 そんな、照れ隠しにつれない態度をとらなくてもいいのですよ?
伊達 019_003 誰だ、こいつを私の屋敷に入れたのは!
真田 020_004 ふふふ。門番には追い返されてしまいしたので、こそっと入ってみましたの
伊達 021_004 不法侵入者か、いいだろう斬り捨ててくれる
真田 022_005 まぁ、わたくしの槍は、いつでも政宗のために研いでいますのよ?
 片倉たちが来る
片倉 023_007 政宗さま、つむぎを連れてきました
伊達 024_005 ああ、起きたか、つむぎ。うん、顔色もよくなってきたな
氷室 025_008 あ、ありがとうございます、政宗さま
真田 026_006 まぁまぁその子ですか? 政宗が拾った小狸とは。ふぅううん
 真田が氷室をジロジロとみて回る
氷室 027_009 あ、あの、えっと
伊達 028_006 勝手に見るな、減る! おい小十郎、幸村をどうにかしろ
片倉 029_008 政宗さまの手に負えぬ輩を、この小十郎がどうにかできるわけがございませぬ!
伊達 030_007 威張るな!
真田 031_007 わたくしは真田幸村です
氷室 032_010 あ、わたしは氷室つむぎといいます。よろしくお願いします、真田さん……ん? 真田、幸村!? うぇえ、また女の人!?
伊達 033_008 知っているのか?
氷室 034_011 ちょっとなら。政宗さまのライバルだって
片倉 035_009 らいばる?
氷室 036_012 好敵手って意味です
真田 037_008 あらあら、ふふふふ。わたくしが政宗の好敵手ですの? 嬉しいですわ。でも残念、わたくしは政宗の好敵手ではなく婚約者です!
氷室 038_013 そうなんですか!?
伊達 039_009 違う! こいつが勝手に言っているだけだ、本気にするな、つむぎ
真田 040_009 どうして話を受けてくれませんの? 真田と伊達が同盟を結んだいま、さらに強固な結びつきをするのがいいことくらい、政宗にも分かっていますでしょう?
伊達 041_010 だからと、なぜ私とおまえが婚約しなくてはいけない
真田 042_010 それはもちろん、わたくしが政宗を愛しているからです
伊達 043_011 残念だが、ほかを当たってくれ
真田 044_011 こんな小狸を召抱えるくせに、わたくしには見向きもしないなんて! どうしてですの政宗、わたくしのなにが気に入らないというのです!
伊達 045_012 全部だ
真田 046_012 ひどいですわ! こんなにも愛しているのに!!
伊達 047_013 やめろ触るな!
片倉 048_010 つむぎ、食事だ
氷室 049_014 でも、いいんですか? 政宗さま、嫌がってますけど
片倉 050_011 いつものことだ、気にするな
氷室 051_015 『本気で逃げてる気がするんだけどなぁ』
片倉 052_012 その、なんだ。その汁物は自分も手伝った
氷室 053_016 え? じゃあ一口! うう、にんじんが固いです、片倉さん
片倉 054_013 む、まだ精進が足りないか。すまん、下げよう
氷室 055_017 いえいえ、食べますよ! これ全部わたしのですから、とっちゃ駄目です!
片倉 056_014 しかし、火が通っていないのでは硬いだろう
氷室 057_018 硬くたって食べれます!! あ、そうだ。今日はなにをお手伝いすればいいですか?
片倉 058_015 今日は、そうだな。家のことは手が足りている。政宗さまにお伺いしてみるといい
氷室 059_019 でも昨日までやることいっぱい余って
片倉 060_016 今日の仕事は政宗さまから聞け! いいな!!
氷室 061_020 はい! 分かりました!! じゃあ政宗さま――って
真田 062_013 さぁ政宗、わたくしと一緒に真田の土地へ参りましょう?
伊達 063_014 行かん!!
真田 064_014 そんな粗野な眼帯より、わたくしが選んだものを身につけて――
伊達 065_015 触るな!
 伊達が真田の手をはねのける
 片倉が殺気立つ
片倉 066_017 真田さま、それ以上、政宗さまに近づかれますとこの小十郎、腰のものを抜かねばなりませぬが、よいですか?
 ちょっと剣呑な雰囲気になる
真田 067_015 政宗の腰ぎんちゃくが、わたくしに敵うと思って?
片倉 068_018 政宗さまより離れられよ
真田 069_016 ……ふう。真田の地に来れば、あなたのことを悪しざまに言う者など、わたくしが散らしてみせますのに
伊達 070_016 ……私のことは私がする、おまえが手を出すことではない
 政宗は広間を出て行く
真田 071_017 あ、政宗、どこに行きますの! ――行ってしまいましたわ。なにが気に入らないというのです。もういいですわ、今日は帰ります。また来ると政宗に伝えなさい
片倉 072_019 ……承知いたしました
真田 073_018 つむぎ、でしたか? 政宗はわたくしのものですから、いいですわね?
氷室 074_021 え、っと、でも、政宗さまは違うって
真田 075_019 政宗はわたくしのものです! いいですね? では
 真田が去る
氷室 076_022 こ、怖かった。いろんな意味で
片倉 077_020 戦場では政宗さまにひけを取らないお方だ。あの方の前では、不用な発言をするなよ
氷室 078_023 気をつけます。でも政宗さま、どこ行ったんだろう
片倉 079_021 さあな
氷室 080_024 探してきます
片倉 081_022 そっとしておけ
氷室 082_025 政宗さまに会って、一人にしてほしいって言われたら、そうします
片倉 083_023 そうか……そうだな、政宗さまはきっと東屋(あずまや)だ
氷室 084_026 ありがとうございます、片倉さん
○東屋
氷室 085_027 『どこに行ったんだろう。東屋に来てみたけど……そういえば伊達政宗の眼帯って、どうしてつけてるのか知らないなぁ。聞いたら教えてくれるかな。あ、いた!』
伊達 086_017 ……
氷室 087_028 『あああ、お綺麗な横顔!! 美人だなぁ、いいなぁ。わたしももう少し華やかな顔立ちしてれば。もしくは、あとちょっとでも胸が大きいとか』
 氷室が足を踏み出し音が鳴る
氷室 088_029
伊達 089_018 誰だ! ……ん? ああ、つむぎか
氷室 090_030 ご、ごめんなさい。お邪魔してしまって
伊達 091_019 邪魔ではないぞ
氷室 092_031 あの政宗さま、傍にいってもいいですか?
伊達 093_020 ああ、構わない
氷室 094_032 隣に座ってもいいですか?
伊達 095_021 いちいち聞かなくても好きに座れ
氷室 096_033 1人でいたい時もあるかなって
 伊達の隣に座る氷室
伊達 097_022 ……すまなかったな、驚いただろう
氷室 098_034 真田幸村まで女だったのには驚きました
伊達 099_023 武将は大概が女だぞ? 豊臣も徳川も
氷室 100_035 私の知ってる歴史では全員、男の人なんですよ?
伊達 101_024 あの幸村が男……想像できん
氷室 102_036 あははぁ……政宗さまは真田さんが苦手なんですか?
伊達 103_025 あいつには遠慮というものがないからな
氷室 104_037 昔からの知り合いなんですか?
伊達 105_026 そうでもない。豊臣の屋敷で会ってからだから、おおよそ7年くらいか?
氷室 106_038 伊達と真田って同盟を組んだんですか?
伊達 107_027 北条が破れ、豊臣の世になった際にな。まぁ、続くかは定かでないが
氷室 108_039 ? どういうことです
伊達 109_028 幸村はああ見えても義理堅い。豊臣に忠誠を誓っている以上、豊臣から動くことはないだろう。だがあれの父はそうでない
氷室 110_040 真田が同盟を破って、豊臣を攻めるってことですか?
伊達 111_029 そうならないように、より強い繋がりを欲しがって、婚約だのわけの分からんことを言い出している
氷室 112_041 ……強いつながりができるのに、政宗さまがしない理由は
伊達 113_030 真田の動向が読めないし、真田と深く関わると徳川が睨んでくるだろう。あとは……純粋に幸村は好みでない
氷室 114_042 あ、それじゃ駄目ですね
伊達 115_031 だろう? ――つむぎも眼帯が気になるか?
氷室 116_043 え?
伊達 117_032 見苦しいだろう?
氷室 118_044 そんなことないですよ! すごく格好いいです!
伊達 119_033 変わっているな。片目など、笑いものになるだけだぞ?
氷室 120_045 いいえ、そんなことありません! その、ほら、政宗さまは格好いいし美人だから、両目揃っちゃったら人気者になりすぎるんですよ。だから神さまが、嫉妬しちゃったんですよ
伊達 121_034 神が嫉妬した?
氷室 122_046 そう、そうですよ! お前、美人過ぎる、ずるいだろう! って
伊達 123_035 は、ははは! そうか、神が私を妬んだのか。それでは仕方ないな
氷室 124_047 『あれ、笑っちゃった? もしかして神さま出しちゃ駄目だった? 仏さまの方がよかった!?』
伊達 125_036 ……幼少期に病に倒れおり、右目の視力が尽きてな、眼球の色が変わってしまったんだ。母はそんな私を、おぞましいものを見るかのように睨んでいた
氷室 126_048 視力が尽きたって
伊達 127_037 死ぬ瀬戸際だったらしい。覚えていないがな。母の視線がいやだった私は小十郎に頼んだんだ、この目を抉り取ってくれと。いや、痛かった
氷室 128_049 痛かったって、そんな笑って言えるようなことじゃないですよね!
伊達 129_038 小十郎にはすまないことをした
氷室 130_050 政宗さまも大胆すぎますよ!
氷室 131_051 『あれ? 片倉さんって政宗さまより年下だよね。目を抉り出したって、そんな小さな子にできるの?』
伊達 132_039 だがそれ以降、眼帯をつけた私を母が睨むことはなかった。嬉しそうに言われたよ、これでようやく普通の子になったと
氷室 133_052 違いますよ。政宗さまはずっと普通の子ですよ! 目の視力がなくなってしまうことだって、瞳の色が違うのだって、普通にあることです!
伊達 134_040 ……そうなのか?
氷室 135_053 私がいたところではありました!
伊達 136_041 そうか。つむぎのいた場所では普通なんだな
氷室 137_054 政宗さま
伊達 138_042 うん、しみったれた話はここまでにしよう。悪いな、こんな話を聞かせるつもりではなかったんだが
氷室 139_055 いえ
伊達 140_043 さて、今日はどうしようか
氷室 141_056 あ、わたし、今日のお仕事を政宗さまからお伺いするようにって片倉さんに言われたんです
伊達 142_044 そうか。なら、つむぎのいた場所の話を聞かせてくれるか?
氷室 143_057 わたしの話ですか? いいですけど、楽しくないと思いますよ?
伊達 144_045 そんなことはない、つむぎは私の知らないことをたくさん知っている。おまえの話は楽しい
氷室 145_058 わたしでいいなら、どんな話でもしますよ!
伊達 146_046 それは楽しみだ
○真田家
真田 147_020 佐助
猿飛 148_001 は、ここに
真田 149_021 政宗のところにいる、氷室つむぎとかいう小娘を調べなさい
猿飛 150_002 伊達さまが拾ってきた娘ですか
真田 151_022 ええ。ことと次第によっては、秀吉さまにご報告しないといけませんもの
猿飛 152_003 御意に
真田 153_023 ふふふ、楽しくなりそうね、政宗


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