たいむとりっぷ 弐

 出演キャスト様
キャラ名 台詞数
氷室 77
伊達 63
片倉 23
家人 4


役名 番号 台詞
 シーン2
※『』はモノローグです
○屋敷
氷室 001_001 『家への帰り方が分からないわたしは、政宗さまがいるお城、岩出山城(いわでやまじょう)で働かせてもらえることになりました。でも、でも!!』
氷室 002_002 お城、大きいよぉ!! 掃除が終わらないよぉー!
伊達 003_001 ははは、大きな声だな、つむぎ
氷室 004_003 あ、政宗さま。おはようございます
伊達 005_002 おはよう。……どうだ、少しはここの暮らしになれたか?
氷室 006_004 えっと、はい、大丈夫です!
氷室 007_005 『夜、眠れないなんて言えない』
伊達 008_003 本当か? 顔色がよくないが。食事があわないか? 好きな物があれば、用意してやれるが
氷室 009_006 いえいえ、お食事とっても美味しいです! 今日だっておかわりしましたし
伊達 010_004 そうか。そう言ってもらえると作りがいがあるな
氷室 011_007 今日も出てきた、あのふわふわで甘いやつ、大好きです!
伊達 012_005 あれは伊達巻といって、白身魚のすり身に溶き卵と出汁を加え、みりんで調味してから焼き上げている。私の好物の一つだ
氷室 013_008 伊達巻って
伊達 014_006 私が好きだからか、そう呼ばれるようになったらしい
氷室 015_009 本当ですか!?
伊達 016_007 くくく、いや、そういう話もあるが。着物に使うだて巻に形が似ているだろう? そこから命名されたらしい
氷室 017_010 へー、そうなんですかー
氷室 018_011 『着物のだて巻って、どこの部分だろう。あとで片倉さんに聞こう』
氷室 019_012 でもお食事って誰が作られてるんですか? 本当にお礼を言いたい味ですよ
伊達 020_008 うん? 私だな
氷室 021_013 ……えと。政宗さまはお城の主さま、ですよね?
伊達 022_009 そうだが。なぜ今更そんなことを聞く?
氷室 023_014 え、ぇえ!? 政宗さまがご飯作ってるんですか!?
伊達 024_010 ああ、美味しい物を食べると元気が出るだろう
氷室 025_015 そうですけど! でもそういうのって普通、その、お料理する人にしてもらうんじゃ
伊達 026_011 主人自ら客人をもてなすのが、私の流儀だ
氷室 027_016 客人って、まさか
伊達 028_012 立場上つむぎは家人だが、私にとっては客人だな
氷室 029_017 お、お手伝いもせず、ごめんなさい!
伊達 030_013 なに謝る必要はない。料理は好きだからな。食べて喜んでもらえると嬉しいだろう
氷室 031_018 うらやましい。私なんてご飯はお惣菜を買ってくるとか、電子レンジでチンできるものだとか……女子力なんて物理しか持ってないのに
伊達 032_014 女子力とはなんだ? つむぎ
氷室 033_019 女の子らしい事ができるレベル……えっと、修練度のことです。お料理とかお掃除とかお洗濯とか。政宗さまは女子力高いです。いつもお綺麗で! 本当に、ため息出るくらい綺麗です!!
伊達 034_015 そうか? 身だしなみを整えるのは当然だと思うんだが。ん? ならば女子力の物理とはなんだ
氷室 035_020 えーっと、拳の力、でしょうか
伊達 036_016 女らしさの項目に拳の力があるとは知らなかったな。なるほど、つむぎは戦上手ということか。ならば今度、戦場にでも出るか?
氷室 037_021 うそうそ、うそです! 女子力物理もわたし、底辺です!
伊達 038_017 ははは、期待しているぞ
氷室 039_022 政宗さまぁ〜
伊達 040_018 ……つむぎ
氷室 041_023 え? あ、はい
伊達 042_019 本当に無理はしていないか?
氷室 043_024 えっと、はい、大丈夫です。元気ですから!
氷室 044_025 『迷惑かけないようにしないと。追い出されたら行くところないし。お金だってまだ全然ない。大丈夫、テスト前の一夜漬けで鍛えた体力は顕在だから!』
 遠くから片倉が氷室を呼ぶ
片倉 045_001 おい、つむぎー。こっちを手伝ってくれ
氷室 046_026 はーい! ごめんなさい、政宗さま
伊達 047_020 ああ、行ってこい
氷室 048_027 はい!
○屋敷(昼)
家人 049_001 つむぎさん、今の掃除をお願いします
氷室 050_028 はーい!
家人 051_002 つむぎさん、皿洗いを頼みます
氷室 052_029 はいはーい!
家人 053_003 つむぎさん、あなたやる気あるんですか? 掃除は中途半端、洗い物もろくにできず、政宗さまが是非にとお声をかけた相手だからと期待していたのに
氷室 054_030 すみません! もう一度やらせてください、次は上手くやります!
家人 055_004 何事も次の機会をいただけると思っていませんか? この城は政宗さまのおわします場所。役に立たぬ穀潰(ごくつぶ)しがいていい場所ではありません! よくよく覚えていらして
 家人が去る
氷室 056_031 あー……だめだなぁ。掃除も食器洗いも、量が多いし、水仕事すると手が痛い……昔の人って、こんな風に頑張ってたんだ
片倉 057_002 つむぎ、なにをしている
氷室 058_032 あ、片倉さん。おつかれさまです
片倉 059_003 手を握って、どうした。けがか?
氷室 060_033 いえ。大丈夫です。なにかお手伝いすることありますか?
片倉 061_004 仕事熱心なのはいいことだ。政宗さまもこうあってくだされば
氷室 062_034 また脱走しちゃったんですか?
片倉 063_005 今日は客人が来られるので、夕刻には帰ってくると思うのだが
氷室 064_035 わたし、探してきましょうか? きっと城下にいますよね
片倉 065_006 貴様を1人で城下に出すせば、二度と帰ってこないだろう、却下だ
氷室 066_036 そんなに方向音痴じゃありませんよ
片倉 067_007 ……つむぎ、政宗さまの治めるこの場所は治安が比較的いい。だが、貴様が1人で出歩けるほどではない
氷室 068_037 そう、なんですか?
片倉 069_008 貴様の外出には必ず政宗さまが同行くださるだろう。そういうことだ。貴様が1人で出た暁には、浚われて売られて死ぬな
氷室 070_038 そ、そんなに治安悪いんですか!?
片倉 071_009 城下の娘共は自分で警戒し、悪漢を撃退する術を身につけているが、貴様は
氷室 072_039 できないと思います
片倉 073_010 そういうことで、城下への人探しは頼めない
氷室 074_040 ごめんなさい、お役に立たなくて
片倉 075_011 貴様には貴様の仕事がある。それをこなすだけで十分なのだ。自分が政宗さまを捕らえてくる。つむぎは政宗さまの部屋に茶を運んでくれ
氷室 076_041 ……はい
片倉 077_012 つむぎ
氷室 078_042 だ、大丈夫です! 頑張れます!
片倉 079_013 そうか、頼むぞ
氷室 080_043 はい!
○部屋(夜)
 布団の中でゴロゴロしている氷室
氷室 081_044 ううん、うーん、眠れないなぁ。枕が硬いからかなぁ。疲れてるはずなのに……いつ帰れるんだろう。どうやったら……いやいや、弱気になっちゃ駄目。命があるんだから、なんとかなる! 頑張ってお金をためれば他の場所にだって行けるかもだし。くじけるにはまだ早い、大丈夫、だいじょうぶ
伊達 082_021 つむぎ、起きているか?
氷室 083_045 !? 政宗さま? 起きてますよ
 障子を開けて伊達が部屋に入ってくる
伊達 084_022 ああ、起きていたか。こんな夜更けに起きているのは関心しないな
氷室 085_046 そういう政宗さまだって起きてるじゃないですか
伊達 086_023 私は城の主だからいいんだ
氷室 087_047 えー、ずるいですよ
伊達 088_024 ……眠れないのか?
氷室 089_048 え、えっと
伊達 090_025 家に帰れないおまえが、見知らぬ土地で不安にならないわけがなかったな。すまない、配慮が足りなかった
氷室 091_049 いえ、いいんです! わたし、けっこう図太いので、慣れればすぐ寝れますよ
伊達 092_026 慣れるまではどうするつもりだ? おまえがここにきて一週間が経つが、眠れないのだろう?
氷室 093_050 限界まで働いたら!
伊達 094_027 体力を使いきって寝るのは、寝るではなく倒れるだ
氷室 095_051 ですよ、ね
伊達 096_028 ふぅ……酒は呑めるか?
氷室 097_052 お酒ですか? はい!
伊達 098_029 なんだ、酒が好きだったのか。なら寂しく1人で手酌するのではなく、つむぎを呼べばよかったな
氷室 099_053 お注ぎしましょうか?
伊達 100_030 共に呑んでくれるのならな。ほら、小十郎から隠して持ってきたんだ。誉めてくれ
氷室 101_054 あ、いけないんですよ
伊達 102_031 つむぎも呑むのだから共犯だな
氷室 103_055 喜んで! 《呑む》っう、わ、これ、度数きついですね
伊達 104_032 そうか? 普通だと思うが
氷室 105_056 あはは、わたし、カクテルしか飲んだことがないので
伊達 106_033 かくてる? ……つむぎは私の知らない言葉をたくさん知っているな
氷室 107_057 政宗さまは聞かないんですね。私がどこの誰で、どうしてあの場所に倒れてたのかとか
伊達 108_034 うん? おまえは氷室つむぎで、あの場所に倒れていたのは崖から落ちたからだろう?
氷室 109_058 うそかもしれないじゃないですか。織田とか、豊臣の間者とかの可能性だってあります
伊達 110_035 屋敷の者が噂をしているな。気にするな、と言っても気になるか
氷室 111_059 私がきちんと説明できればよかったんですけど
伊達 112_036 無茶な仕事を振られていると聞いたが
氷室 113_060 無茶じゃないんです、他の人はできてるんですから。わたしが、下手糞なだけで。……掃除機もないし、洗濯機もないから
伊達 114_037 新しい言葉だな、それはなんだ?
氷室 115_061 押しただけで埃を吸い取ってくれる道具と、設定すると自働で衣類を洗ってくれる道具です
伊達 116_038 凄いな、つむぎはそれらがある場所にいたんだな
氷室 117_062 全部のことを自分だけでするのがこんなに大変で、しんどいなんて思ったことなかったんです。……あの政宗さま、聞いてくれますか?
伊達 118_039 聞いて構わないのか?
氷室 119_063 いま言わないと、きっとずっと言えないと思うんです
伊達 120_040 好きにすればいい。酒の席だ、明日起きた時には忘れているかもしれない
氷室 121_064 ……わたし、未来から来たんです
伊達 122_041 そのミライとは土地の名ではなく、ここより先の時間ということであっているか?
氷室 123_065 そうです。政宗さまや織田信長、明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康を知っているのがその証拠、にはなりませんか?
伊達 124_042 どうだろうなぁ。どれもが名だたる武将たちだ、知っていても不思議ではない
氷室 125_066 そうですか。わたしがいた未来では伊達政宗は男の人なんです
伊達 126_043 っぶ! 私が男? はは、楽しそうだ
氷室 127_067 あと、皆さんが生まれる時期も、ちょっと違います。伊達政宗は戦国時代に遅れてきた武将って言われてたんです。織田信長や豊臣秀吉が天下取りする時代にはいなかったはずです
伊達 128_044 ……つむぎ、それではこの時間の先のは、おまえの未来に繋がらないんじゃないか?
氷室 129_068 そうなんです。だから、どうやったら帰れるのかとか、全然分からなくて。パラレルワールドなのかなって
伊達 130_045 ぱられる?
氷室 131_069 とても似ているけれどなにかが違う世界のことです。それが、ここなのかなって。未来が繋がってても、どうやって帰ったらいいのか分からないのに、パラレルワールドじゃ、もう本当に、帰れないんじゃないかなって
伊達 132_046 ……そうか。帰り方、な
氷室 133_070 ここが嫌だとか、そんなこと全然ないんですけど。でも、いきなりすぎて
伊達 134_047 そう言えば、誰かと共に森に入ったと言っていなかったか?
氷室 135_071 はい。友達と
伊達 136_048 その者たちを探してみるのはどうだ? 私が見つけたのはつむぎ1人だが、友人もこちらに来ているかもしれない
氷室 137_072 そんな都合よく来てますかね
伊達 138_049 つむぎが来たんだ。友人が来ていてもおかしくないだろう?
氷室 139_073 ……そうですね。あと戻る方法は、来たときと同じことをするってのが、お約束なんですけど
伊達 140_050 あの崖から落ちたら死ぬぞ?
氷室 141_074 です、よね
伊達 142_051 ん? つむぎ、眠いのか?
氷室 143_075 あれ? どうしてだろう、なんだか、ねむくて
伊達 144_052 眠れるなら寝たらいい
氷室 145_076 でも、政宗さまが
伊達 146_053 私のことは気にするな。寝ていろ
氷室 147_077 はい……ありがとう、ございます
 つむぎ、寝る
片倉 148_014 酒が呑めぬのに持ち出すので、何事かと思いましたよ
伊達 149_054 隠れるくらいなら出てくればいいだろう、小十郎
片倉 150_015 自分は、つむぎが不審な動きをしないか監視しているだけですから
伊達 151_055 つむぎは呑めるようだな
片倉 152_016 政宗さまはあまりお呑みにならないでくださいね。後々大変ですから
伊達 153_056 分かっている。しかし……家人らには言い聞かせなければ
片倉 154_017 政宗さま……つむぎが間者でない証拠はどこにもありません
伊達 155_057 間者である証拠もどこにもないな
片倉 156_018 未来から来たなど、馬鹿げています
伊達 157_058 なぜ、うそだと決めつけてしまうんだ、おまえは
片倉 158_019 政宗さまになにかあれば、この小十郎、死んでも死にきれません。つむぎとは少し距離をおあけください
伊達 159_059 断る
片倉 160_020 政宗さま!
伊達 161_060 最初に言ったはずだ。つむぎは私が助けた。私が面倒を見るとな
片倉 162_021 なにかあってからでは遅いのですよ?
伊達 163_061 この小娘相手に私が引けを取ると、お前はそう言いいたいのか?
片倉 164_022 ……はぁ。家人らに、つむぎへの嫌がらせをやめるよう、注意しておきます
伊達 165_062 そうしてくれ。しかし、未来を知っている、か
片倉 166_023 政宗さま
伊達 167_063 本当なら、手放してはやれないな


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